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祈りの痕跡

絵を描くこと。
二十歳前後の僕にとって、
それは祈りだった。
何に対しての祈りだったのだろう。
大学の大きな部屋。
でっかいイーゼルを立てて、
80号の絵を描いた。
授業の課題だったその絵に行き詰まると、
外の手すりにもたれ、
煙草の煙を夕空に吐き出しながら、
何か分からないものに祈る気持ちで、
次の一筆への活力を待っていた。
インスピレーションという言葉を、
当時の僕は好んでいたが、
今にして思えば、
それは単なる甘えでしかなく、
つまりは、自分の創作意欲に対する責任を、
自分の外に投げ出すような姿勢であった。
まあ、それが若さというもの。
でも、こんな年齢でそれやっちゃあ、粋ではない。
インスピレーションは、待つものではない。
それは、待ってたって現れない。
インスピレーションは受け手に多くを委ねている。
もっと言うなら、
インスピレーションは受けるものではなく、
与えるものなのかもしれない。
つまり、他人と共有するべきものなのかもしれない。

僕が持ってしまったドロドロしたものを、
ドロドロしたままに、心の奥にある地下室に鍵をかけて厳重保管。死んだらそれごと火葬してもらうのが、あるべき姿かもしれないが、
そのドロドロを、他人に伝わるような方法に調理して、この世の中に物体として残す事を願うのも、
またあるべき様なんだと思う。
その時に改めて立ち上がる言葉が、つまりはインスピレーションなのです。インスピレーションは、得るものであり、与えるものでもある。
それに気づいた時、何か痕跡を残したくなる。



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コメント

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投稿: つねさん | 2017.09.25 14:53

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投稿: tkm | 2017.09.26 07:35

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