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2009年6月9日

アマオケにいた頃は、
個人的にリハの音を録音することをしていました。
もちろん、練習のため
という意味もあったけれど、
今、このメンバーで鳴らす
この時でないと生まれない音を、
記録に残したいというのも、
その当時、意識してたかどうかわかりませんが、
あったのかもしれない。
音程が悪かろうが、タテがズレていようが、致命的なミスがあろうが、
そこで、その時間に鳴っていた音を、
パッケージしたかった。
これは僕の、生まれ持った業のようなもの。
大体このブログだって、
そんな業のたまものだとも、いえなくもないのですから。

2009年6月9日

僕はその夜、
東郷町民会館という場所にいた。
らしい。

日にちは当然忘れちゃったけど、
その時の事は、よく憶えている。

その古いホールで、
本番を控えてプログラム全曲を通したのですが、
確か反響板を下ろさずに演奏したんじゃないでしょうか。
そんな記憶があります。

当時僕は、結婚したてで、
この日演奏している魔弾の射手とかは、
新婚旅行に向かうフィンランド航空の機内で、スコアリーディングしていました。シンコペーションがやっかいだなあとか思いながらね。それが前の年の末のこと。

この時のプログラムは、その魔弾の射手とシューベルトの未完成交響曲
メインはベートーヴェンの7番の交響曲でした。
僕は前二つの曲で、コンマスをしていました。今思えば、一番やらせてはいけない人にコンマスやらせてたんだと思いますが、当時の僕はまだ若くて、気持ちだけでやっていた。何にも知らないで。幸せな時代です。

その日の音源を、
録音できたことを、
僕は、一人
ひっそりと、
幸せに感じている。

何故って、
そこに残された音が、
奇跡的に美しかったから。

ミスは当然ある。
一般的には、けして鑑賞に耐えうるような音源ではないかもしれない。
だけど、この日の未完成は
かなりヤバい。
これは、今聴いても同様に感じること。

上手い下手じゃない。
多分そんな次元ではなく、
そこには、生きた音楽がある。

残念ながら、指揮者の先生の指導は記録されていませんが、出ている音は、本当に繊細、大切に大切に、手のひらに乗せた柔らかな羽毛のひな鳥を、木枯らしから守り、包み込むように温める。そんな慈しむような音が聴こえてくる。

その場で、音を出せたことは、
僕の一生の宝物です。
今、そこまで僕は没入できるかどうか。
多分無理でしょう。
あまりに今の世の中は、
こういったことに無頓着過ぎます。









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