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記憶を掘って、味をつけて、盛り付けて

小学校に入学して間もなく
気管支炎を患った僕は
坂の頂上にある病院に入院することになった
じき6歳だったから
母親はひどく心配したらしいけど、
僕は小児病棟で、
小3と中1のお兄さんと同室で夜を明かす事になった。
だから、僕にとって生まれて初めての、家族以外の人との外泊は病院のベッドだったのです。

夕方、薬液を吸入するんだけど
あの口に咥えるシリコンかゴムがよくわからない筒の味は、今でもはっきりと思い出せる。
他人にとっては、
特に大した記憶じゃないけど。

中1のお兄ちゃんは、
ラジカセを持っていて
同室の三人で
カセットテープにいろんな音を録音して遊んだことを思い出します。

その頃は、心霊現象が流行っていたのでしょうか
中1のにいちゃんにレクチャーうけて、
みんなでコックリさんを呼んだりして。

ある時、僕はお兄ちゃんに
ねえ、このテープをずーっと回しっぱなしで録音したら楽しいって思わない?
って、提案しました。
当時は、カセットテープも高級品ですから却下されましたが、
すぐに消えてしまう今という時間の一部を拾って、
永遠に残すことができるという事に
当時の僕は、
心がときめいたんだと思います。

優しいお兄ちゃんは、
先に退院し
僕は彼からもらった釣りキチ三平の漫画を手に
親に悟られないように
布団の奥で丸まって、
泣いていました。
あれから、そのお兄ちゃんには
会っていません。

人と人とが出会うことは、
同じ記憶を共有することなのかもしれない。
だから、その記憶を共有する誰かが、
何処かで生きている事を思えば、
勇気も出るし、
反面、だからこそ別れは辛いものです。

あの頃の僕の年齢が、
今の長男。
彼は幸い丈夫で、
今のところ入院なんてしてないけれど、
そんな彼を見ていると
何だか不思議な気分になるのは確か。
これに関しては、
まだ上手く言語化できないなあ。

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