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よるのかえりみち




目の前には。
古いマンション。
夕暮れ時、
左隣にいる男が僕に話しかける。
「分かるか?これ。」
僕は、もう一度
しっかりとそのマンションを見てみる。
いつしか辺りは暗くなり、
部屋にあかりが灯りだす。
「ああ、裏窓でしょ。分かるよ。」

今、僕の見ているのは、
1950年代の古いアメリカ映画。
「裏窓」に出てくる風景。
本物なのか、よく似た景色なのか、
敢えてネタばらしすると、
これは夢なので
詳細は今となっては分からないのだけれど、
ただ、室内灯に照らされた電球色の部屋一つ一つが、
小さな絵画作品のように
そこに生活する人々の姿を窓へと映している光景は、
僕の心を少しだけ懐かしい気持ちにさせたのは確かです。

そんな僕の横を女性が通り過ぎ、背後の建物へと入ってゆく。
「グレース ケリー。」
隣の男がつぶやく。
振り返るが、彼女の姿は既に闇の中。

そんな夢をみたのは、
数日前に、図書館である絵本を借りてきたせいかもしれません。

「よるのかえりみち」みやこし あきこ 偕成社2015

新しい絵本ですね。
でも、多分名作です。
僕は勝手にそう思う。
これほどまでに
夜の街の美しさを表現した絵を
僕はまだ目にした事がない。

いつか、購入して
手元に置いて眺めたい。
そう思うほどです。

ちょっと言い過ぎかもしれないけれど、
でも、いつもちょっと言い過ぎちゃうのが、僕の性格であり、一方では悪い癖でもあるのです。

心に、ちょっとだけ孤独を抱えながら深夜の街を歩く。
この体験をした事ある人は、世の中にどれくらいいるのか。

飲み会の帰り?
ありゃダメです。
だって、飲み会の帰りじゃ、
人の余韻が多少なりともあるじゃないですか。

若い頃の、例えば10代後半から20代前半くらいまでの
あの独特な時代にのみ感じる、
訳のわからない孤独感を
コートのポケットに忍ばせて
あてもなく深夜の街を歩いたことのある人。

都市生活者にとって
夜はパーソナルな時間である事が多い。
つまり、その人が、その人である時間。
それをひしひしと感じながら、
その他人の温もりの余韻みたいなものを感じたがる自分。
壁の向こうに耳をそば立てて、
人の生きている気配を感じて、
その温もりを湯たんぽみたいに抱えないと眠れない。
そんな事分かる人。
いるかなあ。

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