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レッツゲットロスト

高校時代に、VHSで何度も見た映画は
ニューシネマパラダイスでも、
インディジョーンズでもなく、

レッツゲットロストだった。

そんな高校生。
かなり特殊ですよね。
レッツゲットロスト、
知ってますか?
ジャズの破滅的トランペッター、
地獄からの悪魔の手に常に片脚を引っ張られながら生きた、ジャズジャイアンツ。
関わる者達を、一人残らず傷つけた危険人物。
チェットベイカー。

その彼の晩年に迫るドキュメンタリーです。

観ると、確実に憂鬱になれます。

チェットベイカーは、筋金入りのジャンキーで、
麻薬絡みのドタバタで、
トランペッターの命であるらしい前歯を一つ残らずへし折られたいきさつがあるのですが、
あの後差し歯で復活したあたりの録音は、
何だか胸に迫るものがあります。

ビルの屋上でペットを一人吹くチェット。
スタジオで、エヴリィタイム ウィセイ グッドバイを歌うチェット。
あと、絶望的なオールモストブルー。

あの頃の僕は、
チェットに、漠然とした大人の哀しさを感じていたのでしょうか?
ふてくされてばかりの10代?

チェットベイカーの日常は、めちゃくちゃ。
人格的にもかなり、厄介な人でした。

これは、スタンゲッツ、チャーリーパーカー、バドパウエルにも通じるかもしれないけれど、

でも、そんな人間から生まれる音列は、
この世ならざる美しさをまとっていたという、
こりゃ一種の夢なんだけれど、
そこに、高校時代の僕も、
おじさんになった僕も、
同意しています。

チェットに特化して言うなら、
彼の場合、その生活の哀しみが、
音の中にほんのちょっとだけ、
染み出している。
いや、多分あえて染み出させているのかもしれませんが、
それが、絶妙なバランスなんで
聴く人にリアルな触感を味あわせるんですよね。

レッツゲットロスト。

アンニュイな春の光。

あの、どこへ向かうのかわからない感覚。
根本的には、今も何も変わっちゃいない。

世界はいつも、僕らの事情なぞ考えるわけもなく、地下水脈みたく静かに、そして大きくて真っ黒なうねりとともに進むものです。

僕は、今でも
道に迷っている。

それは、あるべき現実ですが、
社会のシステムというのは、
その現実を忘れさせてくれるという意味においては、
実に良くできた仕組みだと思います。



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