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オーケストラの村

東欧のとある小さい村、

今年も雪がよく積もります。

湖では朝から白い息を弾ませながらスケートをする子供たち。

楽しげな笑い声は凍った森に吸い込まれてしまうようです。

この村の住民は、家ごとに何らかの決まった楽器を弾くことができます。

例えば、帽子屋のセヴィノクスキーおじさんはホルン、その娘セヴィノチェスカもホルンを吹きます。

時計屋のウィルビスチ爺さんはチェロ、小さい頃親に教わりました。今使っている楽器は父親の形見です。

家の軒には、その住人が演奏する楽器を型どったプレートが掛かっています。家によっては楽器そのものが掛けてあったりもします。

毎夜、村の小さな教会には、楽器ケースを持った住民たちが集まってきます。

神父はピアニスト兼指揮者。オルガニストでもあります。

住民たちはそれぞれの楽器を持って神父を囲むように集まり、

赤ワインをまわし飲んで、今夜も音楽会が始まります。

観客はいません。

自分たちのために演奏をしているのか、

あるいは神のために演奏しているのか。

12月最初の晩のことです。

教会の地下には薄暗い楽譜庫があって、ランプの明かりを頼りに、神父が楽譜を探しています。

袋から取り出したスコア、黄色く変色した虫食いだらけのパート譜の束。

ベートーヴェンの交響曲です。

使い込まれた楽譜なので古い書き込みもみられます。

書き込みというか落書きというか。

「○○参上」みたいな類のものもあります。

ゆっくりと階段を上り、団員一人一人に楽譜が配られます。

クリスマスはどうやらこの曲で過ごすことになりそうです。

なーんて村。

どっかにないですかねえ。

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コメント

なんか絵本の物語みたいでなごみますねぇ。
本当にそんな村があるのかと思いました(笑)

投稿: お~ちゃん | 2006年12月18日 (月) 12:11

そう思っていただけたなら非常にシメシメです。(笑)
実はルーマニアにある、クレジャニ村ってところは、ロマの楽士たちの村として有名です。
人口の3分の1が楽士なんだそうです。
そんな村があるくらいなんだから、
どっか探せばありそうですよね!
オーケストラの村。

投稿: tkm | 2006年12月18日 (月) 20:04

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